食品素材としての野菜のもつ機能性について,私たちはまだまだ知らないことばかりです。野菜に含まれるオリゴ糖も,知られているものは実際に存在する種類のごくわずかで,しかもその機能性についてはかなり限定的です。

 ところが,厚生労働省が許可する特定保健用食品(いわゆるトクホ)の中で,もっとも多くの食品が属する「おなかの調子を整える」成分の大半は,オリゴ糖となっています。これは,腸内細菌(とくにビフィズス菌)に作用して効果を発揮する物質としてオリゴ糖が注目されていることを示していますが,オリゴ糖は果たして腸内細菌にはたらきかけているだけの成分なのでしょうか。

 最近になって,β-グルカン由来のオリゴ糖と特異的に結合する腸内細胞のレセプター(受容体)が発見されました。これは,食成分として摂取されたオリゴ糖のはたらきが,決して腸内細菌の餌となることばかりではなく,直接体内の細胞にはたらきかけていることも重要だということを表わしていると考えています。

 そこで私たちは,胡麻やコンニャクといった,世界的にみてあまり類をみない食品素材の中で,日本人が日常的に摂取しているものに含まれているオリゴ糖に注目しています。こうしたオリゴ糖は,これまであまり注目されてきませんでしたが,日常的に摂取することによって知らず知らずに健康の維持に役立っているのではないかと推測し,そうした機能の解明を目指しています。

これまでに・・・
・胡麻に含まれるオリゴ糖として,プランテオテトラオースというこれまでに見つかっていなかったオリゴ糖が,含量はわずかながら胡麻中に存在することを明らかにしました。(第57回日本応用糖質科学会中部支部講演会口頭発表)